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色が持つ役割・可能性と士業の関係

2023.4.06.THU

- 一からのスタート -


ウェブサイトのトップページを長らく、淡く赤と青を混ぜたような表現を使っていたのですが、これは津軽海峡を船で航行した際に、洋上で出会った夕日と月の灯りが、同じ空間に同居した瞬間を形にしたくて、作ったものでありました(その際の様子は、(旅情)青森〜函館から各駅鉄道で長万部・余市・小樽・札幌を巡るで書き記しておりますので、よろしければご覧ください)。

その様子は、あまりにも綺麗で、すでに2年半近く前のことですが、今でも鮮明に覚えております。言ってしまえば、一瞬の感情をデザインによる表現に用いたものでして、そこに他者との関係性はあまり感じられません。デザインを自己表現と捉えれば成立しますし、問題解決の重要なツールと捉えますと、また違った表現が必要なのかと感じています。

3月上旬に、長く暮らした東京を離れ、広島へと移住してきました。8年ぶりに戻ってきた身なので決して全てが未体験、というわけではないのですが、当時の自分は会社員であり士業でもありませんでした。また、東京でお世話になった大きな法人を離れ、今の自分自身は、何も成し遂げていない、何者でもないと感じていますので、デザインの自己表現として、トップページを白黒にした次第です。「ここからスタートしたい」、私自身の決意でもあります。

以前のトップページ

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現在のトップページ

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- 色と士業の関係 -


色というのは、デザインの中で本当に大きな役割を果たしています。赤であれば、情熱的で活動量の多さを感じさせますし、青であれば、知的で堅実、冷静なイメージを彷彿とさせます。また、色本来のイメージではなく、配色を変えることでたくさんの文字情報の整理を行う、色分けのような使い方もあります。このように、どの色を選び、また、どのような色の使い方をするにせよ、ある一定のイメージが付加されていくことは間違いありません。そうすると、士業として一定の印象が付着し、規模が大きく見えてしまうのではないか、そのような懸念がありました。色の持つ力によって、自分自身が過大評価されるのではないかと感じたのです。

例えば、赤色を事務所のメインカラーとすると、このようになります。

赤色をメインとした事務所

赤色をメインとした事務所

情熱的な赤色なので、事務所全体の元気の良さ、活動量の多さを伝えるには向いてるかと思います。また、事務所そのものの年齢構成も、20,30代等比較的若い方が在籍する場合は適しています。活発さと行動力が売りの事務所になりやすいので、不動産登記の分野を手がける事務所と相性が良いと思います。


青色をメインとした事務所

青色をメインとした事務所

青色を使いますと、落ち着いた印象になります。専門職としての知的な印象を優先させたい場合は、青色は有効かと思います。実は、この青色を採用している士業は、大変多く感じているところです(1番多いのではないでしょうか)。ただし、事務所としての重厚さが強くなるので、余程大きな組織でない限り、青色はあまり適していないように感じております。また、落ち着きと知的さは都心の事務所を連想させますので、商業登記や法人を対象とした場合には良いかと思います。


緑色をメインとした事務所

緑色をメインとした事務所

緑色は、自然色で中立的かつ風通しの良い印象を持たせます。そのため、自然環境や地産地消に配慮した食品やレストラン、NPO等の非営利法人には適しています。士業では、地域密着型を心がける事務所であれば適していますが、そもそも表現として、扱いの難しい色であると思います。また、中立的であるがゆえに得意分野を表現しづらくなるので、その辺りは考慮する必要があると思います。


暖色をメインとした事務所

暖色をメインとした事務所

暖色は、優しさを伝える際に適しています。士業としてというよりも、一人の人間としての人格を重視して、依頼者との1対1に力を入れる事務所には最適かもしれません。特に、相続手続をメインとした事務所では、使われることがあるかもしれません。反対に、都心部で大きい事務所を目指すには、あまり向きません。また、人格者の印象を強くするので、色の効果が強すぎるところも気になります。


国際色をイメージした事務所

国際色をイメージした事務所

こちらは単色ではない場合です。個人的に好きで多用するのは、国旗を彷彿とさせる配色なのですが、そうすることによってその国のイメージと、国際性を持たせることができます。渉外手続を手がける事務所を目指す場合などには、こういった国際性は有用かと思います。


日本の和をイメージした事務所

日本の和をイメージした事務所

「和」を連想させる配色は渋みが強く、焼き物や和菓子、能やかるたといった伝統芸能を連想させる色が使われます。落ち着いた雰囲気は、特に年配の方に好まれるので、資産運用や財産管理などの分野には適しているかもしれません。


日本の和と縦書きの事務所

日本の和と縦書きの事務所

色とは関係ありませんが、「和」を連想させる場合は書体の選択も重要となります。明朝体も良いですが、書道体かつ縦書きを採用するとさらに雰囲気が増します。


情報の整理をメインとした色分け

情報の整理をメインとした色分け

士業は、どうしても文字による情報が多くなります。その際に、利用者へわかりやすく情報へのアクセスを容易にするために、文字ではなく色によって表現する方法があります。このような使い方は、色本来の効果というよりも識別方法の一つとして採用されていると言えます。


元来、士業とは独立して個人でおこなう職業だと、私自身は考えています。なかでも司法書士は特にそう思わせる資格です。自分一人にできることは、シンプルでしかないと考えておりますし、そのような形に表しづらい実態を、上手に表現できないものかと考えていました。その結果、白と黒による組み合わせを採用し、引き続き書道体を使うことにしました。こうすることで、個人としての事業性、司法書士としての歴史性を強く反映させたものであります。

また、社会の様々な制度の本質を熟知し、人と法人の活動を支えていくのが、士業に与えられた役割であります。そういった、屋台骨としての色を考えますと、誰に対してもそれが出来るような万人に共通する配色こそ、士業にふさわしいのではないかと感じます。


text&illustration : takahasi kei


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