相続放棄(そうぞくほうき)とは、相続人が相続をしないこと。つまり、被相続人の生前財産の相続を放棄することを言います。原則として、相続が発生すると相続人は全ての財産(プラスもマイナスも)を引き継ぎますが、家庭裁判所へ申し出ることにより、これを拒否する制度(相続放棄)が設けられています。今回の(GIF解説)では、相続放棄の流れや注意点を少し触れたいと思いますね。ちなみに、相続放棄は家庭裁判所への申し出が絶対に必要です。相続人同士で「放棄する」と話し合いしても、第三者(特に債権者)には意味をなさないので注意して下さい。
GIFは最後に用意しました。iphone・ipad系mobile deviceは画像タッチを、PCはhover(マウスを画像に乗せる)して閲覧して下さい。・・動きます!
- 単純承認に注意 -
単純承認をしてしまうと相続放棄が出来なくなります(電子政府の総合窓口(e-Gov) / 民法第920条参照)。単純承認とは原則通り相続財産を包括的に承継することを意味し、民法第921条(e-Gov参照下さい)には単純承認に該当する事項が記載されています(これを法定単純承認と言います)。
921条を見ると正確に書かれてありますので、ここではさっくり書きます。
1号:相続財産を処分した(手をつけた)
2号:期間内に何もアクションしてない
3号:放棄したのに、背信的な行為をした
どれも相続放棄とは相容れないような事項ばかりですね。中でも1号は解釈によって幅がありそうなので厄介です。例えば、
(相続財産の)家屋を取壊した → 相続放棄出来ない
(相続財産の)家屋を修繕した → 相続放棄出来る
と一般的には理解出来ます。が、その線引きは家庭裁判所の判断による以上、慎重にならざるを得ないのではないでしょうか。
では、相続財産から葬儀費用を捻出した場合はどうでしょうか(よくありそうなお話です)。手を付けているので(問答無用)相続放棄出来ないとなりそうです。が、裁判事例には不相当なものでなければ単純承認には該当しない、つまり相続放棄出来るとしたものがありますので、一概に出来ないと決めつける必要はないのかもしれません。
このように処分の判断には難しいところがありますので、相続放棄を検討するのであれば「財産に関わるような行為は一切にしない」のが安全と言えるでしょう。
- 次順位相続人に注意 -
これは相続放棄の仕組みに関わる注意点です。相続放棄が無事に認められれば、その相続人は(法律上)最初から相続人ではなかったことになります。そうすると、相続というのは次の相続人・次の相続人へと相続する人を探しに行きます。つまり、第1順位相続人がいない → 第2順位相続人がいない → 第3順位相続人がいない・・。その結果相続人が見つかればその方が相続するのですが、相続したいとは限りません。特にマイナス財産が多くて相続したくない、という理由で相続放棄をした場合、次の相続人も高確率で相続したくはないでしょう。
なので、相続放棄をしたときは必ず同順位及び次順位の相続人へ、相続放棄したことを通知するようにして下さい。決して義務ではありませんが、これを怠るとトラブルになる可能性がありますので要注意です(誰でも勝手に借金を背負いたくはないものです)。
- 相続人が全員いなくなると -
全員相続放棄して相続人がいなくなると、相続財産が即座に無主物となることを避けるため、法人となります(民法第951条。e-Gov参照下さい)。家庭裁判所は、法人となった相続財産を管理する人物を選任するのですが(これを相続財産管理人と呼びます)、ここから先はGIFにしました。
- 一部相続放棄はNG -
「あの預貯金は相続したいなあ。でもあの山林は要らないから相続放棄しよう」なんてことは出来ません(結論)。そう、一部相続・一部相続放棄は都合が良すぎるのでNGなのです(これを認めてしまうと相続によって不良債権が多発してしまうでしょう。相続は敵!社会は大混乱必須です)。
しかし、土地については所有権放棄制度の創設を検討されているようですね(日経新聞webサイト記事より)。とっても気になりますので、今後の動きに注目して行きたいと思います。
text&illustration : takahasi kei