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相続手続きをはじめる前に確認したいこと(物件編)

2020.5.31.SUN


相続は、複雑であるだけでなく、方方への多岐にわたる手続きと各々の期限が決められていることが多く(相続登記については、今日現在において期限は決められていません)、かかりきりになってしまうと通常の生活から時間と気持ちのゆとりを失くしてしまう可能性があります。最も大切なのは、一歩ずつ着実かつ丁寧に前に進めていくことでありまして、見切り発車をしてしまった結果、漏れが生じて後から修正する羽目になるのは一番避けたいところです(そうは言っても、期限もあるので大変もどかしいところなのですが)。

そこで、相続手続きをはじめる前に確認したいこと(物件編)と題しまして、幾多ある相続手続きの中でも物件(土地・建物の不動産)に焦点を当てて、その確認の仕方や探し方、その際の注意点などに、簡単ですが触れてみたいと思います。


- 物件の探し方と確認の仕方 -


まず、被相続人の物件を探す前に知って頂きたいのですが、「100%完璧でミスの無い方法」というものは(残念ながら)ありません。物件の調査は、「0から1%ずつ積み上げていく」という性格を有したものでありまして、100%に近づこうとすればするほど、比例して時間と費用が増えていきます。ですので、以下にお伝えする方法は、「大体この程度行えばよいのではないだろうか」という標準的な水準のものであるとお考え下さい。「大枚をはたいてでもほぼ完璧に」という考え方はあらかじめ除外させて頂きます。

では、先に結論から箇条書きにしまして、後から1つずつ説明を加えたいと思います。

1.権利証を探す

2.登記申請書や契約書を探す

3.納税通知書を探す

4.被相続人の郵便物を探す

5.謄本を共同担保目録付きで取得する

6.名寄帳を取得する

< 1.権利証を探す >

権利証とは少し省略した言い方ですが、「不動産登記権利証書」が1番正確かもしれません。登記済証・ 登記済・済証などと呼んだりもします。物件の所有者であることを証明する書類になりますので、被相続人が不動産登記権利証書を持っていれば相続物件の可能性が非常に高いです。中に目を通すと物件が記載されていますのでチェックして下さい。

なお、不動産登記法の平成 17 年改正によって、不動産登記権利証書は物件ごとに1枚ずつ発行される「登記識別情報通知」と呼び名が変更されておりますので、こちらを見つけたら同じく物件の確認を行って下さい。

< 2.登記申請書や契約書を探す >

被相続人が、その前の代から相続登記を受けていた場合、その申請書が残っている可能性があります。登記申請書には物件の記載がありますので、確認が可能です。また、物件を贈与や売買で取得した場合は、その実体的な物件変動を証明する為に契約書を交わしている可能性が高いので、申請書と合わせてそちらを見つけると、これも有効な物件資料となります。

物件を代々受け継いでいると、随分と古い相続登記の資料(申請書含めて)に出くわす可能性があります。既に有効な書類では無いですが、物件を探すには参考になりますので、捨てずにとっておきたいところです。

< 3.納税通知書を探す >

納税通知書より相続登記を申請するというのは、1番有効かつ簡単な物件を探す方法なのかもしれません。毎年市区町村より、固定資産税の支払いを知らせる通知書が、物件の所有者に送られてきます(送付時期は自治体によりますが、大体6月頃が多いかと思います)。「〜様は物件をお持ちなので、固定資産税を払って下さいね」ということなのですが、そのお知らせを上手く活用して物件を見つけ出すという方法です。

大変便利な方法なのですが、納税通知書はあくまで税をお知らせする書類なので、非課税(税金のかからない)の物件は記載されていない可能性が高いです。物件は必ずしも全てが課税対象ではありませんので、注意して下さい。非課税の物件を相続登記し忘れたというのは、決して珍しいことではないと思います。

< 4.被相続人の郵便物を探す >

1.2.3.を包括したような感じになります。登記も税務も全て行政機関・司法書士・税理士が関わってきますので、被相続人の郵送物に物件に関する資料が含まれています。「〜様宛郵便物」を見つけたら、なるべく集めておきましょう。

< 5.謄本を共同担保目録付きで取得する >

ここからは被相続人の書類を探すというのではなく、自ら書類を取得しにいくというような内容になります。

1.〜4.を実施したことで相続人の物件がある程度把握できましたら、1度謄本を取得いたします。謄本と言うと省略的な言い方ですが、正式には不動産登記簿謄本や不動産登記事項証明書(全部事項証明書)と言った方が良いかもしれません。不動産登記簿謄本とは、(簡単に言いますと)不動産の所在・地番・地目・地積といった外観的な情報に加え、不動産の(現在及び過去の)名義人・名義以外の権利設定者など、権利にまつわる関係当事者を記載した書面になりまして、これを取得することで、1.〜4.で把握した物件の所有者が被相続人であることが正式に証明されます(1.ともリンクするのでどっちが優劣と言うわけではありません)。

但し、ただ取得するだけでは少し勿体無い気がします。せっかくなので、「共同担保目録を付けて」取得した方が良いと思います。共同担保目録とは、取得した物件と共に、担保権の担保となっている他の物件を全て記載した、リストのような書面になります。共同担保目録に物件の記載があれば、それは被相続人が所有者である可能性が高いと言えるでしょう(付けても取得費用が増えたりしません)。

< 6.名寄帳を取得する >

最後は1番効果的な方法かもしれません。名寄帳とは物件を一覧の表にした書面になりまして、市区町村において各所有者ごとに発行されます。名寄帳を取得すれば、被相続人の物件が包括的に確認できるので、物件を見逃す可能性はグッと減少すると言えます。

但し、市区町村ごとに管理しているので、確認できるのは各市区町村に存在する物件のみになります。日本に市区町村は(本日時点で)1700以上あるようなので、全ての名寄帳を取得するわけにはいきません。被相続人が住んでいた町、ゆかりのある町などに対象を絞って取り組むのが良いかと思われます。

以上が物件の探し方や確認の仕方に関するごく一般的な方法になります。少し物足りないなと感じたら、まずは各項目をより深く綿密に行ってみて下さい(それでも難しい場合は司法書士へご相談)。このように、個別の状況によって強度を変えながら進めていきましょう。

一歩ずつ着実に探します

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text&illustration : takahasi kei


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