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不動産登記における会社法人等番号の有用性と射程範囲について

2023.7.24.MON


- 会社法人等番号とは -


平成25年に公布された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」において、特定の法人その他の団体を識別するための番号として、13桁の「法人番号」というものが定められており、この法人番号から先頭の1桁の数字を除いた12桁の数字が「会社法人等番号」であります。この会社法人等番号は、法人の登記事項証明書(閉鎖は除く)や印鑑証明書に記載されており、登記情報提供サービスのサイトでも確認できますが、前者は法務局に出向き手数料を支払って上での取得、後者はweb上でクレジットカードの登録手続等がありますので、気軽に確認したい場合ですと、国税庁の法人番号公表のサイトから検索することをお勧めします。本解説は、登記研究823「会社法人等番号の法制化に伴う不動産登記の申請における添付情報の変更について」を参考にしながら、個人的な実務経験を混ぜて構成しておりますので、執務の参考にする際は、以上をご留意お願いいたします。

会社法人等番号を有する法人は、法人番号を指定する、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第39条」による指定によって判別することができます。株式会社・持分会社・特例有限会社など会社はもちろん、一般社団法人・医療法人・司法書士法人など会社以外の法人も有しております。一方で、個人事業者や民法上の組合には指定がありません。前述の国税庁の法人番号公表サイトには、法人番号の説明ページが設けられておりますのでご参考ください。なお、登記研究823の7頁において、土地改良区は会社法人等番号を有しないとありますが、国税庁のサイトには法人番号の指定がありますので、会社法人等番号を有する法人は時事刻々と変化していく可能性があることも付け加えておきます。

会社法人等番号と法人番号

会社法人等番号と法人番号

- 会社法人等番号の有用性と射程範囲について -


では、不動産登記における会社法人等番号の役割を考えますと、法人の代表者の資格を証する書面(資格証明書。特例方式を考慮して情報ではなく書面とします)の代替として認められることとなっております(不動産登記令第7条1項1号)。これが本則になります。これにより登記申請に常に必要だった、作成後三ケ月以内の資格証明書(不動産登記規則第36条2項)の取得と「三ケ月」要件の維持に気を揉む必要がなくなりました。

これは、会社法人等番号が提供された場合には,登記官は,当該番号を用いてコンピュータから法人の登記記録にアクセスし、当該法人の代表者資格または支配人等の権限を有するものが誰であるか、審査することが可能であるからと考えます。なぜなら、確認すべき代表取締役や支配人といった地位は、現在の登記事項であり過去の履歴を探索するものではありません。よって、会社法人等番号を通して現在の法人登記記録から確認することは、何ら支障のない作業と言えるでしょう。以上の理屈は、同意書又は承諾書に添付する法人の代表者の資格証明書として、会社法人等番号を使用する際にも当てはまると考えられます。

ただし、限界もありまして、法人を申請人とする不動産登記申請時に,当該法人の法人登記が申請中である場合には,登記官は会社法人等番号を利用して法人登記記録にアクセスすることが出来ません。このような際は、従来からの資格証明書により不動産登記の審査を行うよう求められておりますので、定時株主総会の時期ですと役員変更がないか、予め法人の担当者に確認する、または直前に法人の登記事項証明書を取得するなど、何らかの対策は必要ですのでご注意ください。

以上は本則の話になりますが、(コンピュータを前提とした)非常に便利なこの会社法人等番号の利用は、代表権の確認だけでなく法人の住所の変更に関する事項にも範囲を広げておりまして、不動産の登記名義人である法人の住所変更登記にも利用が可能です。これは、会社法人等番号によって法人の住所履歴の審査が可能となるためと考えられます。

ただし、本則である代表権の確認は申請時点である現在が対象となりますが、住所の確認となると、現在だけでなく過去相当に遡ることがあります(あくまで肌感覚ですが、度々見かけます)。不動産登記記録においては、代表権は登記事項ではない一方で、住所に関しては登記事項であるため、古くから不動産登記記録に記載のある法人などは、ここの違いに気をつける必要がございます。

そうしますと、住所の確認に用いる会社法人等番号の利用には自ずと限界点が(代表権の確認と比べて)多くなりまして、法人登記の申請中は利用できないのはもちろん、平成24年5月21日以前に設立された法人であって、組織変更の登記、他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記及び管轄転属による管轄登記所の変更をしたときには、会社法人等番号が変更されていました。よって、該当の法人おいて平成24年5月21日より前の住所履歴の審査が必要な場合、会社法人等番号の利用ができなくなります。また、コンピュータ化により「登記簿(紙)」→「登記記録(データ)」に改製され、法人登記記録は閉鎖された経緯がありますが、法人閉鎖登記事項証明書には会社法人等番号が記載されておりませんので、「紙の法人登記簿」まで住所の履歴審査が必要な場合、会社法人等番号の利用ができなくなりますので、ご注意ください。法人登記簿のコンピュータ化は、法人登記の「登記記録に関する事項」欄に「平成元年法務省令第15号附則第3項の規定により平成◯年 ◯月◯日移記」の記載有無から判断するのが良いかと思います。

以下は若干ややこしい話になりますが、「じゃあ、閉鎖された=会社法人等番号が使えない、なのか」と言いますと、そうでもありません。なぜなら、登記研究823の15頁において、商業登記規則第44条第2項の規定による閉鎖では、会社法人等番号の利用が可能との見解が示されているためです。

これは、「抹消された登記事項」と「現に効力を有しない登記事項」の扱いの話になるのですが、商業登記規則第30条1項2号によって、基準日(3年前のお正月)から交付請求日までの、「抹消された登記事項」と「現に効力を有しない登記事項」については、法人履歴事項証明書に記載されるとしております。また、商業登記規則第44条1項2項により、「抹消された登記事項」と「現に効力を有しない登記事項」は閉鎖し、「閉鎖した法人登記記録」とみなすとあります(※ただし例外として、商号と本店に関しては、変更日が3年より前であっても直前の変更に関しては法人の登記事項証明書に記載されると思われます)。

以上を勘案しますと、「抹消された登記事項」と「現に効力を有しない登記事項」について、基準日から交付請求日までについては、法人の登記事項証明書(履歴事項証明書)に記載されるので、当然、会社法人等番号による審査が可能であり、基準日以前については、商業登記規則第44条の規定により閉鎖はされるが(一部記載が存続する例外あり)、会社法人等番号の特性上、番号さえ分かっていれば法人の登記事項証明書(履歴事項証明書)に記載されない事項でも、探索可能なので、たとえ閉鎖されてても会社法人等番号による審査が可能なのでは、と考えます。すなわち、同じ閉鎖であっても紙ベースからの閉鎖(平成元年法務省令第15号附則第3項の規定)と商業登記規則第44条の規定による閉鎖では、登記事務の扱いが異なるのではないでしょうか。これは、主に時系列に差があるため、起こりうることではないかと考えております。

以上より、平成24年5月21日以前の番号の変更は番号が変わるので探索不可、「平成元年法務省令第15号附則第3項の規定により」では、紙ベースから変わったのでパソコンを用いた番号からの探索不可、という見解でおります。あくまで私見ですので、急を要する案件の場合は、一度法務局に相談した方が良いかと思われます。以上の理屈は、法人の合併や会社分割等を証する書面として、商号変更等を証する書面として、住所変更登記を省略する抵当権の抹消登記に必要な変更証明書として、会社法人等番号を使用する際にも当てはまると考えられます。

その他、不動産登記申請ではありませんが下記の手続にも、代表権の確認として会社法人等番号の利用が可能ですので、ご参考ください。

・地図等の訂正の申出(不登規則第16条)

・登記識別情報の失効の申出(不登規則第65条)

・登記識別情報に関する証明の請求(不登規則第68条)

・土地所在図等の訂正の申出(不登規則第88条)

・登記簿の附属書類の閲覧の請求(不登規則第193条5項6項7項)

会社法人等番号の利用と時系列

会社法人等番号の利用と時系列

text&illustration : takahasi kei


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