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地震災害と相続登記の必要性について

2024.2.20.TUE



先日の2月16日に、1月に発生した能登半島地震に関する寄付を、少しばかりさせていただきました。この度の震災で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

日常においては意識することがほとんどないのですが、自宅や倉庫、納屋などといった建物というのは、そこに住む方の生活の範囲の中にあるものでありまして、近隣の方と自身の土地との境界線をおおよそながら示す役割を果たしている、と感じています。建物のこういった役割は、都心部または地方といった地域差や、都市計画上の区域の差などはありましても、意外と大きなものではないかと考えております。と言いますのも、先祖代々からうちとお隣さんの境界線はここだと、認識していたとしても、記憶というものは曖昧なことが多いですし、その時の抱いた感情一つで変化するかもしれません。そういったときに、建物が立っていてその周辺を掃除などしているという外形的な事実があれば、それは土地の境界線の確定において、人の記憶や感情を左右するほど強いものではないだろうか、と感じています。

このように、建物というのは昔から一種の明認方法のような役割を果たしてきたと考えているのですが、当事者同士で境界の合意をした上で確定測量をし、その成果の図面を法務局に備えておくという、国が整備している制度がもちろんありますので、全ての土地においてこの制度の利用があれば、建物にそういった期待を持たせる必要はないかもしれません。

しかしながら、こちらが利用されていないと、やはり建物や人の記憶によらざるを得なくなりますので、その肝心の建物が地震によって倒壊し更地になりますと、土地の境界線というものは、どうしても曖昧になってしまうのではないかと考えます。確定測量にかかる費用や時間、喫緊の必要性などを考慮しますと、特に資産性の低い土地においては未利用のままにされてきたでしょうから、強い地震が起きますと、震災の復興段階において境界線の問題が出てくるのが、今の日本の現状かと思います。

建物の明認方法のような役割

建物の明認方法のような役割

もう一つ、視点を変えますと、土地の持ち主が誰々で、ここもはっきりさせないといけません。そうしないと、境界の合意をすべき当事者がはっきりしないので、境界線の確定が未解決のままになります。加えて、今後は道路を広くして災害用車両の通行の利便も考えよう、避難所をもう少し大きくして複合的な機能を持たせようなど、まちづくりの復興計画の実現には、土地の持ち主の協力が不可欠となるでしょう。そうしますと、当の持ち主がはっきりしないままでは、復興計画の実現も進捗しないままになってしまいます。これは、土地の名義が持ち主となっていない為に生じるのですが、その大半は相続が発生した際に、土地の登記をしないで放置してきたことによるものと考えられます。日常においては何ら問題は起きないのですが、前述のとおり、震災時は土地の境界線の問題もありますし、長期にわたる復興計画も整備され、諸事協力を求められる場面もあります。震災によって死者や行方不明者が多数発生しますと、現地に住む住民が不在の中で、誰が音頭をとって相続登記を進めていくのか、何世代も放置されてきた未登記のままの状態は、平時であっても手続きに困難を伴いますので、かなり難しい問題となるでしょう。これもまた、震災時に重くのしかかってくる日本の現状かと思います。

地震災害につきまして、登記制度に関わる箇所を触れてきましたが、日常での防災という観点から考えますと、測量と相続登記の重要性が垣間見えてきます。どちらも費用と時間を要しますので、防災対策としては持ち主には荷が重いものになるかもしれませんが、放置するとこういったことが起きるということは忘れてはいけないでしょう。相続登記につきましては、令和6年4月1日より義務化されますので、お早めの対応をよろしくお願いいたします。

相続登記は、令和6年4月1日より義務化されます

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