登記の中でもメジャーでかつ比較的簡単な登記に「住所変更の登記」というものがあります(正確には所有権登記名義人住所変更と言います)。登記名義人が住所を変更すると必ず発生するのですが、変更登記を申請しなくてもご自身の権利には影響を与えないためすぐにする方は少なく、現状では必要に差し迫るまで放置されがちであります。そして、いざ登記しなければいけなくなった時、まずは「自分1人で何とか出来ないだろうか」と考えるのは、ごく自然なことではないでしょうか。
そこで、自分1人で住所変更登記が本当に出来るのか、当てはまるケースを検討してみたいと思います。
- 自分でもできるパターン -
登記名義人はAとします。まずは1番簡単な場合です。
自分でできる住所変更登記NO.1
これは1人でも出来ます。Y市で住民票の写しを取得して下さい。住民票の写しには前住所の記載がありますので(電子政府の総合窓口(e-Gov) / 住民基本台帳法第7条8号参照)、現在の住民票の写しを取得すれば、登記時点の住所まで住所履歴が繋がります。
自分でできる住所変更登記NO.2
引越し回数がやけに多いですが・・・。これも1人で出来ます。本籍地で戸籍の附票を取得して下さい。本籍地はX市ですね。Y市ではありません(Y市は住所地です、混同しやすいです)。戸籍の附票という書類は、籍を置いてある期間に発生した住所移動の履歴を全て記載してくれます。
自分でできる?住所変更登記NO.3
おっと・・ややこしくなりました。これは出来るでしょうか?悩んだら次を見てください。
自分でできる?住所変更登記NO.4
どちらも戸籍の附票で対応できそうですが、NO.3とNO.4とでは本籍地変更のタイミングが違いますよね。除籍となった戸籍の附票は保存期間が5年とされており、本籍地変更のタイミングによってはX市において廃棄されている「可能性」があります(あくまで可能性、蓋を開けてみないと分からない世界)。では万が一手に入らないと出来ないか、というとそうでもありません。ここからは手間が増えますので、司法書士に相談するというのが最も無難な答えでしょう。
自分でできる?住所変更登記NO.5
少し毛色を変えてみました。市町村合併は2000年台前半に全国各地で行われておりまして、このケースはよく見かけます。合併により住所が変わるわけですが、あくまで行政の事情により起きたことであり、登記名義人Aの意思で発生したことではありません。
住所変更登記の厄介な点を挙げるとすれば、こういったAの意思を介在としないパターンが頻繁に起こり得る点ではないかと思います。これも経験と研修に基づいた専門知識が欲しいところなので、司法書士に相談するというのが無難でしょう。
自分でできる?住所変更登記NO.6
もう大変です、迷わず司法書士に相談しましょう。
- 要点を押さえること -
<引っ越し回数は影響しない>
ここまでご覧の通り、引越しをした回数というのは住所変更登記には大きな影響を与えません。1回でも10回でも状況は同じです(ただし海外への引越しは事情が変わりますので要注意)。
<戸籍の変更回数は多いか>
一方で、戸籍の変更回数は影響を与えます。分籍・転籍・婚姻・養子縁組・離婚・離縁等をされた場合は戸籍が変わってきます。また戸籍は行政側の事情により新しく編製されていきますのであわせて確認が必要になります。
<物件の数は多いか>
これは手間の問題になります。物件が1つの場合と100の場合とでは、登記申請の手間のかかり方が全然違います(100の方がよっぽどしんどいです、根気にもよりますが)。
<連件で登記申請があるか>
住所変更登記とセットで所有権移転登記や抵当権設定登記を申請する必要がある場合は、まず最初に住所変更登記をする必要があります。この住所変更登記が失敗してしまうと、後ろの登記も全部ダメになります。責任重大な場面になりますので、迷わず司法書士に依頼すべきです。
<長年放置していないか>
これは一般的な事柄になりますが、長い間放置してしまうと住所変更登記は実現困難なものへとなりやすい性質があります。それは、自分自身の個人的な事情だけでなく、市区町村等の自治体の事情も発生しやすくなる為です。長年を一律に定義するのは難しいですが、10年以上放置してありましたら1度気にかけてみた方が良いかと思います。
<費用は決して高くない>
司法書士報酬は決して高くありません、大体は数万円程度ではないでしょうか。(詳しくはworksの氏名等の変更カードをご覧下さい)。時間と財布と相談しながら決めてみて下さい。
所有権登記名義人住所変更登記申請書
text&illustration : takahasi kei