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外国居住の外国人が、所有権登記名義人となる登記申請をする際の住所証明情報について

2024.1.12.FRI


- 令和5年12月15日法務省民二第1596号通知について -


上記の先例におきまして、タイトルにあります住所証明情報の取り扱いにつき法務省の見解が発表されておりますので、私見を含めてになりますが、個人的な解説を付け加えたいと思います。不動産登記実務において、住所証明情報が必要となる場面はよく遭遇いたしますが、上記の先例は「外国に住所を有する外国人」を前提にしたものとなっております。先例の詳しい内容は、法務省のホームページにございますので、一読をお願いいたします。

上記先例の中で非常に細かな見解が示されておりますが、まずは先例の理解に入る前の背景として、住所証明が必要な個人につき、分類分けによって整理して把握しておく必要があると思われます。

1. 日本国内に住所を有する日本人の場合

2. 外国に住所を有する日本人の場合

3. 日本国内に住所を有する外国人(日本国籍を有しない自然人をいう。以下同じ)の場合

4. 本国に住所を有する外国人の場合

5. 居住国に住所を有する外国人の場合

1. 日本国内に住所を有する日本人の場合
2. 外国に住所を有する日本人の場合
3. 日本国内に住所を有する外国人の場合
4. 本国に住所を有する外国人の場合
5. 居住国に住所を有する外国人の場合

上記の分類において、大半の不動産登記申請に必要な住所証明情報に該当するのは 1. でありまして、また、2. につきましても住所先の領事館において在留証明書の発行がなされておりますので、運用は固まっていると考えられます。3. につきましては、在留資格をお持ちの方が大半ですので、1. と同じ取り扱い(もしくはそのように登記名義人となる方に伝える)にすれば支障は出ないと考えます。そうしますとここで問題となるのは、4. と 5. でありまして、法務省の文面をそのままお借りしますと、「近時、国際化の進展の下で、所有権の登記名義人が外国に住所を有する事例が増えてきており、登記名義人の所在の把握に困難を伴うことがある(赤字は私がしています)との指摘がされています。」とのことです。これは4. と 5. の登記名義人を示していると思われ、今後の登記事務処理に支障が出ないよう、法務省から法務局に対し統一した見解を出したものだと理解しております。

一言で外国と言いましても、国によって日本との距離は全然違いますし、三権分立制度の採用であったり社会制度のインフラの違いであったりと、千差万別でありまして、米国や韓国、中国といった比較的事例が多いと思われる国もあれば、アフリカ諸国などあまり馴染みのない(と思われる)ところも含んでまいります。また、4. というのは信用力の補強となる資料の探索にまだ可能性を感じますが、 5. になりますと、証明を発行する国は(言ってしまえば)ただ住んでいるだけでしかありません。そういった要因が結果として複合的に絡んでくるような事例が増加している中で、法務局としては住所証明情報の信用性をどうやって担保していくのかを考慮しなければなりませんし、さらには今の日本の登記制度にどのようにして落とし込んでいくかを考えていかなければならないのだと考えます。

以上の理解を踏まえまして、4. と 5. につきましては、

(原則)登記名義人となる者の本国又は居住国の「政府」(政府は領事を含み、公証人は含みません)の作成に係る住所を証明する書面(日本の住民票の写しに相当するもの)を原則としております。

この書類の取得が難しい場合、(次のA. B.)

A. 登記名義人となる者の本国又は居住国の「公証人」の作成に係る住所を証明する書面

A. 旅券の写し

もし旅券が無い場合は、

B. 登記名義人となる者の本国又は居住国の「公証人」の作成に係る住所を証明する書面

B.「登記名義人となる者」の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書

B. 登記名義人となる者の本国又は居住国の「政府」の作成に係る書面又は電磁的記録の写し等(政府が発行する住民票の写し以外の本人確認書面の写し等)

以上が、住所証明情報として取り扱うとのことになっております。(A.とB.の旅券と本人確認書面の写しには有効要件が定められていますので、一度ご一読ください)。また、当然ですがこれらの書類には日本語の記載がありませんので、日本語に訳した書面の添付が必要となります。

万が一、以上の書類によって4. と 5. につき住所証明情報が提出できない場合は、日本の公証人の認証によることも認められているようであり、その際に必要な書類も挙げられておりますが、本国でも居住国でもない日本の公証人が認証をしたところで、果たしてどれほどの証明力が担保されるのか、正直疑問を感じざるを得ません。その判断および責任が登記代理人である司法書士に課せられるのは間違いありませんので、(先例はあるとはいえ)個々の事例によって慎重に期するべきかと考えます。以上は、各法務局の登記官の判断にもかかってまいりますので、法務局とも相談しながら進めるのが良いかと感じております。該当される方は一度ご検討のほどをよろしくお願いいたします。


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